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2025年11月17日

久米田忠裕選手
デフリンピックに出場決定

天理大学3年、レスリング久米田選手が挑む国際舞台

11月15日から開催されるデフリンピック東京2025に、レスリング競技の日本代表として天理大学体育学部3年、久米田忠裕(くめた・ただひろ)選手(20)が出場します(小樽支部・北盛分教会)。生まれつき耳の不自由な久米田選手は、男子フリースタイル65kg級とグレコローマンスタイル67kg級の2階級に出場し、「初戦突破」を目標に掲げています。

兄の背中を追い、レスリングに熱中

久米田選手は7人兄弟の6番目、5男として生まれました。生まれつき耳が悪く、普段の生活では補聴器を使用しています。

レスリングを始めたきっかけは、高校時代にあります。3番目のお兄さんが天理教校学園高校でレスリング部に所属しており、その戦う姿に憧れ、久米田選手も同校へ進学しレスリングの道に進みました。高校時代には近畿大会で3位という最高成績を残しています。

「イメージ通りの動きができたり、練習した技が試合で決まったりする瞬間が楽しい」と語る久米田選手は、その後の進路として、高校時代の三谷豊人監督(現・天理大学レスリング部コーチ)の勧めもあり、天理大学レスリング部に入部しました。

デフリンピックへの挑戦

国際大会への出場は初めてとなる久米田選手ですが、デフリンピックの存在を知ったのは、大学の監督とご両親からの話がきっかけでした。

フリースタイルを得意とし、相手の足元に入る「ローシングル」タックルを武器とする一方、投げ技を苦手としています。しかし、昨年10月の「全日本大学レスリンググレコローマンレスリング選手権大会」72kg級では5位入賞を果たすなど、両スタイルで着実に実力をつけてきました。

現在はディフェンスの甘さを課題とし、相手のタックルを防ぐ練習に集中して取り組んでいます。

「勇気を与えられる人に」

耳が聞こえづらいことで精神的に落ち込んだ時期もあった久米田選手ですが、「障害のあるアスリートが頑張る姿をテレビで見て、元気をもらった」と振り返ります。

初めての国際舞台となるデフリンピックでは、「メダル獲得を目指すのはもちろん、まずは初戦を勝ちたい」と力を込めます。

そして、その先に見据える夢は「自分の同じ障害の人に勇気を与えれる人になる」こと。天理市在住の久米田選手は「多くの方が応援してくれることに感謝し、頑張りたい」と、期待を背負ってマットに上がります。

デフリンピック レスリング競技日程
予選から決勝までの全試合を YouTubeにてライブ配信されます。

グレコローマン 11月 21・22日

フリースタイル 11月 23・24日


👂 デフリンピック(Deaflympics)とは?

耳がきこえない・きこえにくい人のための国際的な総合スポーツ競技大会」です。
「デフ(Deaf)」は英語で「耳がきこえない」という意味で、「オリンピック」とを合わせた造語です。
第1回大会は1924年 フランス・パリ(夏季)。
競技中は補聴器や人工内耳の体外パーツなどの使用が一切禁止され、すべての選手が公平に「きこえない」立場で競技に臨む。
競技ルールオリンピックとほぼ同じ。視覚的工夫音声情報が使えないため、ランプの光や旗、国際手話などを活用した視覚による情報保障が徹底されている。
参加資格補聴器などを外した裸耳状態で、聴力損失が55デシベルを超えている聴覚障害者など。